メインクーンが遺伝的にかかり易い病気の特徴と予防方法を紹介

キャットフード博士
ここではメインクーンがかかり易い病気について詳しくまとめました。
メインクーンは両親から遺伝しやすい病気と、体質的にかかり易い病気があります。
加奈子
えー、メインクーンは丈夫な種類って言ってなかったっけ?
小太郎
特定の遺伝疾患がある場合があるんだにゃ。
ちゃんとしたブリーダーやキャッテリーから譲り受ければ大丈夫だにゃ。
後は、迎えいれる時にきちんと検査を受けるのも大事だにゃ!

 

メインクーンが遺伝的にかかり易い病気

ここではメインクーンが遺伝的に好発しやすい病気を紹介します。残念ながら、遺伝(遺伝子または原因不明で遺伝が原因と言われている)が原因の為、ここで紹介する病気については効果的な予防方法はありません。ただ、どんな病気なのか知っておくことで、症状や異変にいち早く気づいてあげることができるので参考にしてみて下さい。

 

肥大型心筋症

左心室の筋肉が厚くなり、左心室の容量が減ってしまうことで心臓の収縮によって送れる血液の量が減ってしまう病気です。メインクーン以外にも純血種だとペルシャやアメショーに多いとされています。それ以外だと6~10歳の短毛のオスが好発条件となっています。

 

血液の循環がうまくいかなくなるので、「食欲不振やぐったりする・乾いた咳・苦しそうな呼吸・腹水」などの症状が見られます。この肥大型心筋症自体がほとんどの場合において原因不明な為、効果的な予防方法はありません。症状や異変が見られたら早めに受診するようにしましょう。

 

オスの方がメスよりも発症する年齢が低いと言われています。オスは2歳、メスは3歳からエコー検査を受けることで簡単に見つけることができます。(若すぎると症状がまだ出ていない場合がある)発症が認められた場合は、これ以上不幸な猫を増やさない為に、譲り受けたショップやブリーダーに告げて、可能性のある猫を繁殖に使わないよう努力するしかありません。

 

脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)

筋肉を動かす為の神経が無くなってしまう病気で生後3~4ヵ月が好発条件となっていて発症すると後ろ足にわずかな震えが見えます。さらに症状が進み5カ月頃にはジャンプすることが出来なくなり、後ろ足に症状が現れやすく、うまく立てないので膝で立つようになり足は外側に開いた状態で立ちます。

 

この病気を発症すると短命になります。オスの方が重症化すると言われています。ただ、この病気は遺伝子が大きく関わっていて遺伝子検査で原因となる遺伝子が分かるので、ペットショップやブリーダーから譲り受ける際に、この病気の遺伝子検査を受けているか確認しておくと安心です。

 

多発性のう胞腎

ペルシャとその系統に多いとされる先天性疾患で治療法のない病気です。初期症状はほとんどなく、猫の成長に伴い進行していくので少しずつ「食欲不振や多飲多尿・体重の減少」などの腎不全に似た症状が出てきます。この病気にかかるとだいたい寿命は7年程度と言われています。

 

早期発見し、低たんぱくな療法食を摂取することで進行をおくらせられるとされていますが、これを裏付けする有力な研究結果はありません。(痛みを和らげる効果はあるとされている)この病気も親猫のどちらかが発症していると子猫も50%の確率で発症します。

 

多発性のう胞腎と診断されたら、ブリーダーやペットショップに告げてこれ以上不幸な子を増やさないよう、可能性のある猫を繁殖に使わないように努めるしかありません。病気が進行すると触診でも分かりますが、生後10ヵ月以降のエコー検査で高確率で病気を発見することができるので、10ヵ月以降の定期健診にエコー検査を入れると良いでしょう。

 

大腿骨頭すべり症

人も起こる病気で、太ももの付け根(股関節側)の軟骨が滑ってしまう病気で股関節の痛みや可動域が狭くなるといった症状が現れる為、猫の場合は痛みから急に運動量が低下します。人の場合、1万人に対して1~2人、成長期に肥満体系の子が好発します。猫の場合は0.67%ですが、メインクーンは8.17%が発症していました。

 

Slipped capital femoral epiphysis in 17 Maine Coon cats
Danilo Borak et al., Journal of Feline Medicine and Surgery Vol 19, Issue 1, 2017

 

理由としては一般的な猫と比べるとメインクーンは股関節部分が成熟するのが遅いのが原因と考えられます。これに加えて1歳児には一般的な猫の1.5~2倍の大きさに成長してしまう為、股関節部分が未成熟のまま過度な負担がかかる為と考えれます。12ヵ月頃から高いところへのジャンプを失敗したり、激しい運動を嫌う・足の付け根を触られるのを嫌う・足をひきずるなどの症状が見られた場合は、大腿骨頭すべり症を疑って受診してみるのが良いでしょう。

 

股関節形成不全(股関節異形成症または股異形成)

先の「大腿骨頭すべり症」とは違い、股関節形成不全は先天的に股関節の形状に異形が起こり、炎症を起こし運動障害などを起こす病気です。犬に多く猫には少ないとされてきましたが、近年行われた調査で猫は痛みを隠す動物の為、飼い主が気づいていないだけということが分かってきました。

 

調査結果をまとめると「全体の約3割で発症またはリスクの可能性がある」・「実際に発症している猫の内、運動量の低下や症状を表すのは多くても3割程度」ということが分かります。主な症状としては歩き方の異変・運動を嫌う・猫でよく見かける座り方(画像のような後ろ足をたたむ座り方)ができない・歩く時に腰が左右に揺れるなどです。

 

出典:http://europepmc.org/abstract/med/9828940

出典:http://europepmc.org/abstract/med/10397063

出典:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1740-8261.1999.tb00375.x/abstract

出典:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1748-5827.2005.tb00340.x/abstract

 

ほとんどの場合が痛みを和らげる為の抗炎症薬とダイエットによる関節への負担の軽減程度です。手術という方法もありますが手術自体が困難で費用も高額な為、国内ではほとんど行われていません。関節への負担という意味では適切な体重を維持することで炎症を軽くできるので、体型維持が唯一の予防と言えるかもしれません。

 

眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

ペルシャ系統やヒマラヤンなどの鼻がつぶれた系統に良く見られる病気で、まぶたが内側に反り返ってしまう病気で、角膜炎・結膜炎などを引き起こす為、眼を執拗に気にしたり目やにが増える・まぶたの痙攣などの症状が見られます。遺伝性の先天疾患なので早ければ生後2~3週間で現れ、遅くても1歳までに現れます。猫の月齢にもよりますが、手術が可能な状態であれば外科手術(反ってしまう部分を切除・縫合)することで簡単に治ります。

 

メインクーンが体質的にかかりやすい病気

ここからは遺伝ではなく、メインクーンの特徴ゆえに生活の中で好発する病気についてご紹介します。こちらはあなたのケアで十分に予防が可能なので、メインクーンを迎えるのであればしっかりとケアしてあげて下さい。

 

毛球症(ヘアボール)

猫は待ち伏せ型の狩りを行う為、ニオイで自分の場所がバレないようにグルーミング(舐める)をし常にキレイに保ちます。その際に自分の抜け毛を飲み込んでしまい、消化器官に毛が詰まってしまい吐き出すことも排泄することも出来なくなってしまった状態を毛球症と言います。

 

通常は吐き出すか排泄するかで対外に出せるんですが、メインクーンのような長毛種は毛球症を好発します。食欲不振や頻繁に吐く仕草をする・便秘やお腹に触られることを嫌がる・吐いた毛玉に血が付いている場合は毛球症を疑いましょう。毛球症を予防うする為にも朝晩2回のブラッシングで抜け毛のケアをしてあげましょう。

 

「十分に抜け毛のケアをしている」または「ブラッシングが嫌いでさせてくれない」場合にはラキサトーンなどの毛球症を予防する薬もあるので検討してあげましょう。

 

熱中症

メインクーンなどの長毛種は冬の寒さは得意としますが、夏の暑さを苦手とします。夏場は高くても室温を28℃程度にとどめて熱中症を予防してあげましょう。特に人間がいる場合は良いんですが、お留守番をさせる場合、日中の室内はかなりの高温になります。エアコンを上手く利用して室温の管理を徹底してあげましょう。

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