子猫が下痢をした時の原因と対処法、病院に連れて行くかの判断基準

加奈子
ハカセー!
友達のところにいる子猫が下痢をしてて相談を受けたんだけどどうしたらいいと思いますか?
キャットフード博士
子猫の下痢は少し心配ですね。
「3回以上続く、または1日以上続く場合は病院に」連れていくように伝えて下さい。
小太郎
他にも病院に連れていく時の判断基準とか、原因・治し方なんかも博士がまとめてくれたにゃ!

 

子猫の下痢で病院に行くかどうかの判断

  • 3回以上、1日以上は病院に
  • 便に異物や血が混ざっている・下痢便の色が黒い・しぶり便
  • 元気がない・食欲がない・下痢以外に嘔吐などの症状がある場合

 

1回下痢をしただけで食欲もあり・元気なら様子を見て構いません。子猫はだいたい1日に2~4回うんちをするので、3回以上または1日以上下痢が続く場合は病院に連れて行ってあげましょう。また、上記のように便に異常がみられる場合は寄生虫や病気の可能性もあるのでできるだけ早く病院に連れていってあげましょう。

 

病院に行く際は「便はビニールやラップに包んでもってく」と検査がスムーズに進みます。基本的に子猫は体力が無いので下痢が続くとどんどんと体力を奪われます。中には「多少の下痢は大丈夫」という方もいますが、これはその方の経験則から言っているケースが多いです。

 

この記事を読んでいる方のほとんどは、子猫の下痢に対して経験がなく不安なので読んでいる方が多いと思います。確かに子猫は消化能力も低いので下痢をし易いです。程度や回数によっては病院に言っても整腸剤を出されて終わることの方が多いです。しかし、素人判断が危険なことも事実です。

 

子猫は体力が無いので「さっきまで元気だったのに気づいたらぐったりしていた」なんてことも珍しくありません。以前も子猫を飼っていて下痢の経験がある方とは違い、その子の下痢が深刻な状況なのか自分では判断が付かない場合は一度獣医に相談することをおすすめします。

 

子猫の下痢で病院に行くと良く聞かれること

  • 普段と違うことをしたか(家にきたばかり・小さい子が遊びにきて構われていた)
  • 普段と違う食べ物をあげたか(誤飲・誤食も含む)

 

子猫に限らず、猫が下痢をして病院に連れていくと決まって聞かれるのが上記の2点です。つまり上記2点が原因で下痢をするケースが多いということです。例えば、ペットショップやブリーダーから家に迎え入れたばかり(環境の変化によるストレス)、小さい子が遊びにきて子猫をずっと構っていた(構われ過ぎや人見知りによるストレス)など。

 

また、あなたの知らないところで家族が人間用の食べ物を与えていた(食べ慣れないものによる消化不良)、あなたが留守中に猫にとって毒となるものを誤飲・誤食してしまったなどです。得にフードやミルクの変更によって下痢をするケースは珍しくありません。

 

成猫であってもキャットフードを切り替える際には1週間~10日くらいかけて少しずつ切り替えていきます。消化機能が低い子猫が急にミルクやフードを切り替えれば下痢をする可能性は十分に考えられます。

 

子猫が下痢をする原因

ここからは子猫が下痢をする原因についてまとめました。基本的に病気の場合を除けば様子を見たりフードを変えたりすることで改善が見られます。但し、原因に心当たりが無ければ病院にて検査(特に寄生虫やウイルス)を受けた方が良いでしょう。

 

子猫の下痢が病気の場合【病院に連れていくべきケース】

コクシジウム・ネコ回虫(回虫症)・十二指腸虫(鉤虫症)・トキソプラズマ・ジアルジアなどの寄生虫、サルモネラ・カンピロバクターなどの細菌、嘔吐や発熱もある場合はコロナウイルス・パルポウイルスなどの感染症が考えられます。これらの病気になると酷い下痢と下痢以外の症状が起こります。

 

下痢の状態

  • 水~泥状態
  • 血便
  • 粘液っぽい
  • ひものような回虫が出てくる
  • トマトジュースの様にサラサラした血便
  • 下痢以外の症状
    腹痛・吐き気(吐くそぶり)・食欲不振・脱水症状(下痢が原因)・嘔吐(吐しゃ物に回虫が混ざる)・震え・混乱・微熱・腹痛(お腹が痛くて丸くなる・お腹に触られるのを嫌がる)・子猫の発育不良・咳・体重減少・貧血・毛ヅヤが悪くなる・発熱・頭

     

    下痢以外に上記のような症状が見られる場合は、下痢の回数によらず「下痢以外にどういった症状があらわれているのか」を含めて獣医に相談しましょう。

     

    消化器官の未発達

    子猫の週齢・月齢にもよりますがまだまだ消化器官が未発達で、食べたものを十分に消化できていない可能性が考えられます。この場合、1日の給餌量は変えずに1回にあげる量を減らして回数を増やしてみて下さい。消化器官にかかる負担を減らすことができます。

     

    また、悪玉菌と善玉菌のバランスが悪く下痢をするケースもあります。消化器官が未発達なので腸内細菌のバランスが崩れやすいので、動物病院で整腸剤を処方して貰う他、ネット上ではビオフェルミンをあげたら治ったという方もいます。

     

    生活環境の変化によるストレス

    「新たに家に迎えた」・「小さい子供に執拗に構われた」・「長時間お留守番をした」・「いたずらをして強く叱りつけた」・「親戚が泊まっていった」など、普段では無い変化に対してストレスを感じることでも下痢をすることがあります。この場合、長期かすることはなく、だいたい1~2回で止まります。

     

    ただ、先住猫から執拗に威嚇や攻撃(餌を取られてしまう)などを受けている場合、慢性的にストレスをかかえていている可能性があります。「6 多頭飼いの猫のストレスについて」を参考に子猫が先住猫からストレスを与えられていないかチェックしてみて下さい。

     

    フードの劣化

    子猫が食べ残したフードをその都度、廃棄している場合は気にする必要はありません。子猫の場合、まだ一度に食べられる量が少ないので小まめにご飯を与えます。2~3時間おきに与えていると「まだ大丈夫だろう」とつい余ったご飯を次のタイミングで出してしまうこともあるかと思います。

     

    基本的に一度でも子猫が口にしたものは、唾液を通して雑菌が繁殖します。得に夏場は繁殖スピードが速く注意が必要です。仮に口を付けなかったとしても劣化(風味が落ちる)や酸化するので基本的には余ったものは廃棄し、毎回新鮮なご飯を出してあげましょう。

     

    子猫の場合、個体差もありますが小食な子は1日に食べられる量が少ないです。日持ちがするドライフードでも開封後は賞味期限内であっても1ヵ月以内には食べきって下さい。1ヵ月以上経つと酸化が進み消化に悪くなっていくので下痢をし易くなります。

     

    食べ過ぎ

    生後3~7ヵ月頃までは最も成長スピードが速く、多くの栄養を必要とします。「通常のご飯を食べてもまだ欲しがるのでついおやつをあげてしまった」ということもあると思います。ただおやつにもよりますが「食べ慣れないものによる消化不良」や「猫にとって毒となるものだった」という可能性もあります。

     

    基本的にフードの場合、食べ過ぎれば胃が膨らんでしまい吐き戻します。食べ過ぎで下痢をするとしたら多いのはミルクの飲みすぎですね。生後2週目からは子猫が欲しがるだけミルクを与えて構いませんが、吐き戻したり下痢をする場合は1回の量を減らして小まめに与えると下痢が収まるかもしれません。

     

    水分の過剰摂取(ミルクの場合)

    ウェットフードや離乳食を食べさせていても下痢になることはほとんどありませんが、ミルクの作り方を間違えると下痢をします。具体的にはミルクを作る際のお湯の量が多すぎる場合です。水分量が多いと、子猫も栄養が足りないので満腹感を得られるまで飲もうとします。

     

    結果として水分を過剰に摂取してしまい下痢をします。正しい分量で作れているかミルクのパッケージを確認してみましょう。逆にミルクを濃くするとうんちが固まり易くなります。但し、単純にミルクを消化できずに下痢をしている可能性もあります。お湯を多めに作っていたら本来の分量で作ってあげてみて下さい。

     

    ミルクを消化できていない場合、ミルクを濃くするのは危険です。通常であればミルクを別のものに変えるか、1回の量を減らして1日にあげる回数を増やす、またはミルクを薄めて与えます。原因が明らかな場合を除いて、ミルクの濃度を調整する場合は一度獣医に相談してからが良いでしょう。

     

    フードが合わない

    キャットフードでもミルクでも子猫に合わないことがあります。この場合、「フード(ミルク)を変える」・「1日の量は変えずに回数を増やす」・「フードをお湯でふやかす(ミルクならお湯の量を増やす)」といった方法で対処していきます。但し、フードを頻繁に切り替えるのも消化器官に負担がかかりますしフードを切り替えて急に良くなることもあります。

     

    キャットフードやウェットフードの場合は食物アレルギーの可能性もあります。寄生虫の検査も問題なく、下痢が長期化する場合は素人判断せずに獣医に相談してみましょう。

     

    子猫の下痢の治し方

    ここからは子猫の下痢の治し方をご紹介していきます。治し方ではありませんが、基本的に子猫が下痢をしている時は水分を多めに与えて下さい。下痢をしている場合、通常よりも水分を失います。下痢を恐れて水分を与えない方がいますが、これはNGで脱水症を起こす可能性があります。

     

    ドライフードであればぬるま湯でふやかしてあげたり、ウェットフードをあげているのであれば固形部分を減らして水分を多めにあげるなどです。但し、ミルクに関してはお湯を多めに作っている場合もあるのでこの場合は規定量で作り、小まめにあげるようにして下さい。

     

    整腸剤(ビオフェルミン)

    子猫が下痢をして診てもらうとほとんどのケースで整腸剤を処方されます。これは子猫に対して薬はまだ強い為で、薬ではないので効果も緩やかで即効性はありません。続けていくと腸内細菌のバランスが取れていき、正常な固さのうんちに戻っていきます。基本的には病院で処方されたものをあげましょう。

     

    掲示板などを見ていると、「人用のビオフェルミンを砕いて毎食少しずつあげた」という方もいて、調べた限りでは「ビオフェルミンをあげて悪くなった」という方は見られませんでしたが、あくまで人用に作られた整腸剤なので子猫に効果があるのか?副作用はないのか?といった部分は未知数です。

     

    キャットフード・ミルクの変更

    例えば、ドライフードをあげていたのであればぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードに切り替えてみる・茹でたササミ肉など、消化に良いものを与えます。月齢にもよりますが、離乳直後であれば一度ミルクに戻してみるのも良いでしょう。ドライフードを食べていて慢性的な下痢をしている場合は、ドライフードが合っていない可能性も考えられます。

     

    小麦やトウモロコシなどの穀物が原因で食物アレルギーを起こしている可能性もありますし、メインの鶏肉や魚が原因になっている可能性もあります。原材料をみながら グレインフリー(穀物不使用)や動物性蛋白源が異なるものを与えて様子を見ても良い でしょう。

     

    給餌量はそのままに回数を増やす

    これは、キャットフードやミルクがその子に合っていない場合に使える方法で、合わない=うまく消化できていない状態なので、 1回で与える量を減らして小まめに与えることで消化器官への負担を軽くする といった内容になります。これで下痢の症状が改善される場合、原因がフードかミルクの可能性が高いです。

     

    餌をころころ変えない・おやつはあげない

    「キャットフード・ミルクの変更」と相反してしまうんですが、だいたい同じフードを2週間は続けた方が良いです。(成猫なら1ヵ月以上)「Aというフードを1食与えたら下痢になったからBをあげた、Bも下痢だったからC…」といった具合に短期間にころころ変えるのが良くありません。

     

    切り替え自体が消化器官の負担になることと、結局A~Cのどのフードが原因で下痢をしているのかが分からなくなってしまう為です。また、例え子猫用のおやつであってもやめましょう。無駄なカロリー摂取になり、満腹感から本来食べるべきフードの食いつきが悪くなり、栄養バランスが乱れます。

     

    一度沸かしたぬるま湯をあげる

    水道水が原因で下痢をしている可能性もあります。 一度沸かしてから人肌くらいに冷めたぬるま湯 を与えてみて下さい。一度沸かすことで不純物を取り除いて、人肌にすることで冷たい水道水よりもお腹への刺激を減らせます。また、人肌くらいの温度にすることでよく飲む子もいるので脱水症を防ぐのにも有効です。

     

    絶食・断食

    たまに絶食や断食が効果的だという方がいます。確かに、原因がはっきりしている場合には有効な場合もありますが、子猫の場合は成猫と違い、6~12時間の絶食で低血糖症を起こします。成猫を断食・絶食するのとは違いリスクが大きいので素人判断では行わず、獣医の指示のもと行うようにしましょう。

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