これから多頭飼いを考えている方は参考にしてみて下さい。
目次
猫の多頭飼いによる崩壊を防ぐ為に最低限のルールを守るとこ!
- 完全室内飼い
- オス・メスがいる場合は必ず去勢・避妊手術をすること
猫を多頭飼いする以上、上記を守れないのであれば残念ながらあなたには猫を飼う資格はありません。無知な人間が起こした悲惨な「猫の多頭飼い崩壊の実体(youtubeに飛びます)」をご覧ください。多頭と書いていますがオス・メスのツガイで飼う以上去勢・避妊手術は飼い主として最低限のルールです。
また、メスだけ・オスだけなら問題無いとは言い切れません。何かの拍子に外に脱走してしまい外で臨まない妊娠をしてしまうケースも十分に考えられます。生後5~6ヵ月まで、遅くても生後1歳までには去勢・避妊手術を受けさせて下さい。万が一増えてしまった際に「ただ餌を与えていれば飼っている」ということにはなりません。
一頭一頭が大切な命です。全ての子に対して病気やケガになった際に病院に連れていき、健康な状態で生涯を過ごす権利があります。そのサポートができる範囲で増やすのなら問題はありませんが、猫は一度で3~5頭出産します。ご自身の経済状況をよく理解した上で何頭まで飼うことができるのかをつねに考えて下さい。
猫を多頭飼いする際のトイレ・餌の数やコツは?
ここでは猫を多頭飼いする上で最も質問の多いトイレと餌の数についてご紹介します。基本的には トイレも餌も1頭につき1つ用意する のがベストです。その理由についてもまとめたので参考にして下さい。
トイレの数は最低でも1頭に1つ
トイレは最低でも1頭に対して1つ用意してあげて下さい。ベストとしては頭数に対してプラス1つが望ましいです。これは万が一与えられたトイレが気に入らず、トイレを我慢してしまうのを防ぐ為です。そんな時に予備としてもう一つあると安心してトイレを使うことが出来ます。
複数頭で一つのトイレを使う場合もありますが、基本的に猫はたとえ兄弟であっても自分の縄張りを意識します。自分の縄張りを他の猫に荒らされることでストレスとなり、トイレ以外の場所でオシッコやうんちをするようになり飼い主と猫、双方にとって望ましい環境ではありません。
また、複数頭で1つのトイレを使用する場合、トイレが汚れるペースが速くトイレを清潔に保てません。猫はキレイ好きなので、トイレが使用済みの状態になっているとトイレを我慢してしまいます。それでも掃除されないとトイレ以外の場所で粗相をしてしまいます。
何より、新入り猫が感染症や寄生虫を持っていた場合や今後の生活の中で何らかの感染症にかかった場合に、 トイレを別々にしておくことで防げる病気もあります。 なのでやはり最低でも1頭に対して1つトイレを用意してあげましょう。
餌やりのポイントは?
得に問題が無ければ、共通の餌を頭数分のお皿に分けてあげれば問題ありません。やはり他の猫の唾液などが付いていると嫌がって食べない子がいるので、最低でも1頭に対して1つのお皿を用意してあげましょう。次のような場合には飼い主側で配慮が必要になります。
- 病気で特別な餌を食べないといけない子がいる
- 他の子の餌を横取りする子がいる
1の場合は餌の種類にもよりますが、療法食などの場合は栄養素が制限されているものが多く、健康な猫にとってはやや栄養が足りなくなるものもあります。特別な餌が必要な子だけが食べられるように別の部屋で食べさせるなどの拝領が必要になります。また、先住猫が成猫で新入りが子猫の場合も、成猫用と子猫用(キトン)で餌を分けなければいけません。
2の場合、餌を十分に食べられずに栄養不足になるだけでなく、横取りされてしまった子がストレスを抱えてしまい粗相や問題行動を起こす可能性があります。やはり横戸られてしまう子だけ時間をずらしたり、別の部屋でゆっくりと食べさせてあげるなどの配慮が必要になります。
例えば、子猫は一度に食べられる量が少ない為、1日に数回に分けて食べさせなければいけません。先住猫が成猫(定時給餌)の場合、「なんであいつだけ好きな時に食べているんだ⁉」となってしまうのでできれば子猫の餌の時間だけ別の場所で食べさせると良いでしょう。
また、唾液によって感染する病気にかかっている場合も餌のお皿を分ける必要があります。完全室内飼いにすることである程度は感染症などを防ぐことができますが、あなたが外からウイルスを持ち込むリスクは十分に考えられるので、やはり1頭に対してお皿を一つ用意してあげましょう。
猫の多頭飼いでケンカを防ぐ方法
ここでは猫同士のケンカを未然に防ぐ方法と、万が一ケンカが始まってしまった場合に止める方法をご紹介します。
多頭飼いによる猫のケンカを防ぐ方法①:1頭に1部屋が理想
猫同士が行動を共有できるスペースとは別に、1頭に対して1部屋あるのが理想です。(例:3LDKなら2匹)これは、お互いに干渉しない自分の縄張りを持つことで、万が一相性の悪い相手と同居することになったとしても落ち着けるスペースを作るという意味で大切になってきます。
これは万が一ケンカになった際にも、自分が逃げ込めるテリトリーがあると本気で怒る前に自分の部屋に逃げ込みます。自分の縄張りがないと逃げる場所が無いのでケンカが激しくなる傾向にあります。猫同士のケガを避ける為にも1頭に対して1部屋は必要と考えて下さい。
多頭飼いによる猫のケンカを防ぐ方法②:相性を考える
猫のペア | |
---|---|
悪 | 成猫オス+成猫オス |
↑ | 高齢猫+子猫 |
中間 | 成猫オス+成猫メス |
↓ | 成猫メス+成猫メス |
良 | 親猫+子猫 |
上記は下にいくにつれて相性が良くなるようにまとめました。当然と言えば当然ですが、親子や兄弟といった関係は相性が良いです。兄弟の場合は、生後2~7週頃にしっかりとじゃれ合い社会性を身に着けた相手だと成長後も絆が強くなる傾向にあります。逆に成猫のオス同士の相性は最悪です。
去勢手術を行うことで多少はマシになりますが、成猫のオス同士にひとつ屋根の下で仲良く生活してもらうのは基本的に諦めた方が良いでしょう。成猫のオスとメスの場合、繁殖期の鳴き声やスプレー行為・望まない妊娠などを避ける為にも去勢・避妊手術を推奨します。
子猫と老猫は子猫の遊びたい気持ちに老猫の体力がついていかないことがあります。老猫が疲れているように見えたら子猫を離しておもちゃで遊んであげて下さい。成猫のメス同士はあまり衝突が少ないとされています。これは、ライオンのメスが共同生活を送るのと同じと考えられています。
上記以外にも、先住猫は以前に他の猫と生活したことがあるのか?などによっても新入り猫と仲良くなれるかが変わってきます。あくまで一般的な内容なので、成猫のオス同士で仲良くなれることもありますし、成猫のメス同士でも上手くいかないことはあります。
多頭飼いによる猫のケンカを防ぐ方法③:先住猫を優先に
新しく猫を迎える際は、新入りは先住猫があまり出入りしない部屋で2~3日待機(別の部屋を用意できない場合はケージに入れて布をかけておく)させましょう。先住猫が家の中を散策する際にニオイで新入りの存在を悟ります。その後、新入りをケージに入れて先住猫と対面させましょう。恐らく最初の内は威嚇しあうので2~3週間は新入りをケージに入れて対面させてあげましょう。
ずっとその状態という訳にはいかないので、ケージの蓋をあけておきます。早ければ2~3日で蓋を開けても大丈夫ですが、新入り猫が子猫なのか・成猫なのか・オスかメスかでも状況が変わってきます。新入り猫が自分から出てくるのを待ちましょう。新入り猫は子猫の事が多いと思いますが、先住猫を優先的に可愛がってあげて下さい。
ここで新入り猫ばかりを可愛がっていると、新入り猫のニオイがあなたについてしまい先住猫の機嫌を損ねます。先住猫には 自分への愛情はこれまで通り変わらない というのを分かって貰った上で、新入り猫を受け入れて貰えるように努力しなければいけません。
万が一、ケージでの対面を続けている間に猫同士が威嚇を通り越してケージ越しにケンカを初めてしまうようなら早めに切り上げて新入り猫を別の部屋に避難させて下さい。(基本的には威嚇までで止まります)もし2~3週間続けてもケンカになってしまうようなら残念ながら2頭の相性が悪いというのを認めなければいけないかもしれません。
多頭飼いで猫同士のケンカが始まってしまった時の止め方
- 大きな声で怒鳴る
- 霧吹きや水鉄砲
- 風船を割る
万が一お互いがケガをしそうなレベルのケンカに発展してしまった場合、上記のような手段を使って「猫同士の気を反らす」ことで仲裁をします。ケンカの度合いによって猫が嫌がる・びっくりするような内容に変えていく必要があります。家猫であれば、体が濡れるのを嫌う子が多いので霧吹きや水鉄砲が効果的です。
猫同士がひるんだ隙にどちらかを非難させます。この時、原因が分かっているのであれば、悪い方を連れ去りましょう。例えば、「猫Aの縄張りに猫Bが侵入してしまったら猫Bを自分のテリトリーに連れ出す」といった具合です。威嚇だけでケンカに発展しなければ放って置いてもよいでしょう。
ケンカが始まると興奮状態となり、仲裁に入ると人間がケガをする場合もあるので、事前に爪を切っておき、できれば仲の悪い猫同士は別の部屋を用意し、万が一威嚇が始まった ら威嚇中に段ボールでお互いの存在を遮断したり、上記の方法を使って早めに仲裁する のが良いです。
仲が良かったはずの猫同士がケンカをする理由
- じゃれ合っていたが、しつこかった
- 動物病院から返ってきて他の猫のニオイがした
- 庭によその猫が来て興奮していた
それまで中が良かったはずなのに突然ケンカを始めることがあります。理由はいくつか考えられますが、多いのは上記のような理由です。元々仲が良かったのであれば、全力でケンカをしたりどちらかがケガをするようなレベルには発展しないので放っておいても平気です。
多頭飼いの猫のストレスについて
- 一緒に寝る
- 互いをグルーミングし合う
- 互いの体を擦りつける
上記のような行動が見られる場合は、 猫同士の関係は良好 と思って良いでしょう。但し、猫は本来であれば単独行動をする生き物です。「仲が良い」と「ストレスが無い」はイコールでは無いので注意が必要です。また、上記のような行動が見られたとしても、次のような優劣が付いている場合は注意が必要です。
ストレスを与える(優性)側 | ストレスを受ける(劣勢)側 |
---|---|
目を見てそらさない | 目を反らす |
どかす | 餌や寝床を譲る |
追いかける | 追われる |
猫パンチを当てる | パンチを受ける |
威嚇する | 威嚇を返せずに怯える |
上記のような行動が猫間で見られる場合、劣勢側はかなりストレスを抱えている可能性があります。劣勢側を別の部屋で隔離し、優性猫をその部屋に近づけないようにし、劣勢猫のストレスケアを心がけてあげましょう。また、劣勢猫に関してはストレスから脱毛などの症状が出ないか注意してあげましょう。
猫の多頭飼いにケージは必要か?
新入り猫の為に1部屋用意できるのであればケージは不要です。ケージも別の部屋も、いきなり先住猫に対面させるのではなく、まずはニオイで先住猫に「他の猫がいる」ことを察してもらい、心の準備をして貰う為に必要になります。たいたい2~3日はケージの中で過ごして貰うことになります。
なので、新入り猫には数日ですがケージ内でご飯を食べたり水を飲む・トイレなどをして貰わなければいけないので大きめのケージを用意してあげると良いでしょう。成猫を迎える場合はもっと時間がかかることともあるので3段くらいの多少運動ができる大きさのケージを選ぶと良いでしょう。
また、ケージは顔合わせの時だけでなく、万が一飼い猫が感染症にかかった際、病気がうつるのを防ぐ為に 感染した猫を隔離する為にも使えます。 多頭飼いをするとなると感染症やノミ・ダニはすぐに他の子にうつるので万が一の為にも用意しておいた方が良いと言えます。
最後に
猫は基本的には単独行動を好みます。ライオンのメスは協力して狩りをしますが、あれは単独よりも協力した方が狩りの成功率が上がる為で、自分の子供を食べさせる為に行っています。よく「お留守番が多いから1頭じゃ可哀そう、もう1頭いたら一緒に遊べて寂しくない」と考える方がいます。
これは間違ってはいませんが、1頭でいる寂しさよりも多頭飼いによるストレスの方が強いということを忘れないで下さい。例え大きな家であっても、新入り猫がくることによって、これまでは家中を自由に行き来出来ていたのが、新入り猫に縄張りの一部を譲らなければいけません。
また、ここのまとめた内容はあくまで「猫を多頭飼いする」上で一般的に言われているポイントであり、全ての猫に通用する内容ではありませんし、例外もあります。基本的には1ヵ月程度で仲良くなれますが、どうにも相性が悪く同居できないケースもあるので、兄弟や親子を除いくと「仲良くなってくれればいいな」くらいの気持ちでいた方が良いでしょう。