【猫・子猫の目の病気】症状・原因・治療法を解説!症状から病気を推測

キャットフード博士
ここでは猫の目の病気について詳しくまとめました。
症状・原因・治療法など各眼病ごとにまとめてあります。
また、症状ごとに考えられる病気も検索できるようにまとめたので、飼い猫の目に異常がある方は参考にしてみて下さい。
加奈子
猫の目の病気ってこんなに色んな種類があるのねー。
小太郎は大丈夫?何か異変があったら早めに言ってね。
小太郎
僕は今のところ大丈夫にゃ!
よくある「涙やけ(流涙症)」から始まって珍しい病気までまとめたにゃ!

猫の目の病気と症状・原因・治療法

ここでは猫の目の病気の症状と原因・治療法についてご紹介していきます。結膜炎についてより詳しく知りたい方は「猫の結膜炎」を参考にして下さい。

 

流涙症

角膜炎結膜炎が原因となって涙の分泌量が増えて、まぶたの外側に涙があふれて目頭の辺りで乾き、目元の毛が茶色く変色した状態を言います。主な症状は涙の過剰分泌・涙の排出障害・目元の毛の変色です。

 

原因は角膜炎・結膜炎・急性緑内障・眼瞼炎などの眼病の他、タバコの煙や逆さまつ毛や異物の混入などによって涙が増えているケースと、涙を排出する管が細いといった先天障害で、ペルシャやヒマラヤンなどの鼻が低い充血種に多いです。

 

治療法は基礎疾患となる眼病の治療・異物の除去など原因に合わせた治療を行います。先天障害の場合は外科手術で管を広げたりすることもあります。

 

結膜炎

結膜炎については専用のページを作ったので「【猫・子猫の結膜炎はうつる?】効果的な目薬3選と自然治癒について」を参考にして下さい。

 

白内障

眼球内の水晶体が白く濁った状態を言います。但し、白内障に似た症状で加齢に伴う水晶体の硬化は視覚障害を起こしません。主な症状は黒目が白くなる・視力の低下・壁やものにぶつかり易くなる・嘔吐・食欲低下・涙が増える・目やにが増えるといった内容があります。

 

原因は血統(ペルシャ・ヒマラヤン・バーマン)、糖尿病やブドウ膜炎などの基礎疾患、ケンカなどによる外傷・放射線治療や有害物質などがあげられます。

 

基礎疾患が原因となる場合はそちらの治療と合わせて点眼薬や内服薬を投与します。症状が進行している場合は外科手術で水晶体を取り除いたりします。この間はエリザベスカラーを装着します。手術を行っても視力が回復しないケースもあるので事前の検査が重要です。

 

角膜炎

目の表面にある角膜に炎症が起こった状態を言います。角膜の表面だけなのか・角膜そのものも炎症が起きているかで5つのタイプに分かれます。タイプによって症状・原因・治療法は異なりますが主な症状は激しい痛み・前足で目を擦ろうとする・瞬きと涙の増加・角膜が白く濁る・顔を床や壁に擦りつける・光をまぶしがる・涙の増加などです。

 

原因は外傷やウイルス感染・異物の混入・血統などがあります。また、結膜炎眼瞼内反症が角膜炎を起こすこともあります。

 

治療方法は抗生物質の投与と点眼薬、医療用コンタクトレンズの着用、猫が擦ってしまう場合はエリザベスカラーの着用をします。炎症が酷く失明の危険や生活に影響がある場合は外科施術を行います。

 

緑内障

急性と慢性がありますが眼球内部で生産される液体の循環が滞ってしまい眼圧があがる病気です。主な症状は光をまぶしがる・嘔吐・瞳孔が開きっぱなしになる・眼球の突出・視野が狭くなる・失明などです。

 

原因はブドウ膜炎前房出血水晶体脱臼が原因となることもあれば、先天疾患の場合、ウイルスや感染症が原因となることもあります。

 

基礎疾患があればそちらの治療と共に眼圧を下げる内服薬・点眼薬の糖よを行います。薬だけで改善が見られない場合は外科手術によって強制的に液体を排出したり、循環が滞る原因となる部分を調整します。酷い場合は眼球を摘出します。

 

眼瞼内反症(外反症)

瞼(まぶた)が内側に反り返った状態をいいます。外側に反り返るのは眼瞼外反症といいます。まつ毛や被毛が角膜や結膜に触れた状態となるので症状としては涙の増加・前足で目を擦る・目やにの増加・光をまぶしがる・瞬きの増加・まぶたの痙攣などが見られます。

 

原因は遺伝(ペルシャ・ヒマラヤンなどの鼻が低い純血種)の他に体重の減少、角膜炎結膜炎による痛みによるまぶたの痙攣などです。

 

治療法はまつ毛やまぶた周辺の被毛を剃る、皮膚の縫合(1歳未満)や皮膚の切除によって反り返ってしまうのを防ぎます。

 

チェリーアイ(第三眼瞼線脱出)

第三眼瞼(瞬膜)の裏側にある線が炎症を起こし、赤く腫れあがった状態で目頭のあたりから赤いチェリーが突出しているように見えることからチェリーアイと呼ばれます。症状は片目または両目の第三眼瞼の突出・目を気にして前足でこする仕草・結膜炎の発症などがあります。

 

原因は遺伝(バーミーズ・ぺルシャ)的に起こり易い純血種がりる他、外傷や瞬膜の炎症が元となって起こります。

 

治療法は点眼薬・第三眼瞼線の切除・第三眼瞼線の縫合などがあります。点眼薬はあまり効果が期待できず、切除は術後にドライアイを引き起こすことがあります。瞬膜が突出しないように縫合するのが最も一般的です。

 

ホルネル症候群(ホーナー症候群)

眼球と脳をつなぐ神経に異常が起きることで発症する病気です。主な症状は眼球が凹む・瞬膜の突出・瞳孔が縮む・まぶたが下がるといった症状が起こります。多くは顔の片側だけに症状が現れる為、左右非対称となり異常に気付きます。

 

原因は先天異常・外傷・炎症・感染・中耳炎・内耳炎・特発性(原因不明)などが原因となり発症します。

 

治療法は原因となる基礎疾患の治療を行います。猫の場合45%が特発性でホルネル症候群を発症する為、原因が分からない場合は自然治癒を待ちます。長期化すると4ヵ月以上かかるケースもあります。

 

角膜裂傷

目の表面にある角膜に傷がついた状態を角膜裂傷と言いますが、傷の深さによってタイプが2つに分かれます。傷が角膜を突き抜けている場合は「穿孔(せんこう)型」、角膜の途中で止まっている場合は「非穿孔型」と呼びます。症状は傷の深さによって変わり、傷が軽度の場合は角膜炎と同じような症状が現れます。傷が深くなると角膜の歪みや眼球の内容物が表面に出てしまうこともあります。

 

原因は外傷(ケンカや異物の混入)か内側からの圧力(事故や落下)です。内側からの圧力は事故や落下による頭部への衝撃によって起こりますが、衝撃による損傷の方が重症になります。

 

治療法は傷の深さによって変わりますが、軽度の場合は感染症を防ぐ為に抗生物質などを投与します。猫が目を気にする場合はエリザベスカラーも使用します。角膜に穴が空いている場合は縫合します。傷が大きく眼球の内容物が表面に出ている場合は眼球を摘出することもあります。

 

眼球脱出

パグやシーズーといった目がやや出ている犬ではよく起こりますが、猫では珍しい病気で眼球が完全にまぶたの外に出てしまった状態を言います。主な症状は眼球の突出・乾燥・炎症・壊死などです。

 

原因は外傷や頭部への強い衝撃・眼球を覆う部分に腫瘍ができてしまい内側から眼球が圧迫されるなどです。

 

治療法は眼球を元の位置に戻しますがまぶたにひっかかってしまう場合はまぶたを切除します。眼球の炎症が酷く、視力の回復が難しい場合は眼球の摘出を行います。

 

水晶体脱臼

通常であれば動くはずのない水晶体が前後に動いてしまう状態を言います。主な症状は目を気にして前足で擦る・水晶体が小さく揺れている・水晶体が欠けているように見える・目が白く濁る・角膜のむくみ・視覚障害(重度)などです。

 

原因は先天性の場合と、ブドウ膜炎緑内障・外傷などが原因となり、眼球に圧力がかかる後天性のものがあります。

 

治療法は検査の結果によりますが、眼圧の上昇がなければ点眼薬、眼圧の上昇が見られる場合は水晶体または眼球の摘出を行います。

 

前房出血

角膜の内側にある前眼房で出血が起きた状態です。症状は眼球が真っ赤になる・前足で目をこする・視力低下による歩行困難・失明・まぶしそうにするなどです。

 

原因は外傷・先天異常・ブドウ膜炎緑内障などの眼病の他、高血圧や腎不全といった血液や血管に異常をきたす病気が原因になることもあります。

 

治療法は基礎疾患となる眼病がある場合はそちらの治療をします。出血量が少なければ自然治癒を待ちます。

 

ブドウ膜炎

眼球内の血管が多い膜に炎症が起こった状態です。主な症状は角膜の裏側の濁り・前房出血結膜炎・瞳孔が縮む・涙が増える・目やにが増える・目を気にする仕草・白目の充血・眼圧の低下などです。

 

原因は外傷・ウイルスや細菌感染・腫瘍などで、角膜炎や結膜炎・歯周病などが原因となることもあります。

 

治療法は基礎疾患の治療と同時に抗炎症成分が含まれた点眼薬や注射薬を使用します。

 

子猫がかかり易い目の病気

子猫の場合、上記のような一般的な眼病以外にも疑わしい病気があります。特に捨て猫を保護した場合はウイルスや細菌感染の可能性が高いです。詳しくは「2 子猫にとってワクチンの必要性」を参考にして下さい。ウイルスや細菌感染によって目やにが大量に出ます。

 

これを放っておくことで結膜炎や角膜炎を起こし重症化し、まぶたが癒着してしまい最悪の場合は眼球が壊死してしまいます。瞼が癒着してしまうと外科手術が必要となり手術代も数十万円レベルで発生します。免疫力の低い子猫の場合は重症化し易いので早めに病院で検査を受けましょう。

 

目の症状別に病気を推測

ここからは目に起きている症状から推測できる眼病をあげました。必ず該当する訳ではありませんが、飼い猫の目に異常が見られる時の参考にしてみて下さい。

 

涙・涙やけ・目やにがおおい
目が白く濁っている
目が飛び出している
明るいところでも瞳孔が開いている

 

猫の目の病気の治療費

診察項目 平均費用(円) 割合(%)
初診料 1,000~2,000 73.6
再診料 500~1,000 76.3
フルオレセイン染色 1,000~2,000 44.9
シルマーティア 1,000~2,000 44.5
眼圧測定 1,000~2,000 31.8
スリットランプ 1,000~2,000 19.3
眼底検査 1,000~2,000 23.8
超音波検査 2,000~3,000 21.7

出典:日本獣医師会が平成27年6月

 

  • フルオレセイン染色:角膜の傷の検査
  •  シルマーティア:涙の量の検査
  • 眼圧測定:眼圧の検査
  • スリットランプ:傷の深さ・水晶体異常など幅広い検査
  • 眼底検査:目の奥(深い部分)の検査
  • 超音波検査:目に出血があったりした時に目の内部を見る検査

 

目の状態によっては直ぐに手術が必要な場合もあるので一概には言えませんが、治療費については通常の「初診料+検査代+薬代」であれば3,000~5,000円あれば収まるケースが多いです。ただ、動物病院の費用は獣医が自由に決められるので病院によって診察代・薬代などが変わります。

 

手持ちがない場合は後日支払いや分割払いに応じてくれる病院も少なくないので、電話で事前に相談してみると良いでしょう。基礎疾患の有無や程度にもよりますがだいたい1~2ヵ月の通院で完治するケースが多いです。

 

猫の目から瞬膜が出ているんだけど自然治癒する可能性はある?

瞬膜が出ているというだけでは病気の特定が出来ないので一概には言えませんが、炎症が悪化して失明する可能性もあります。瞬膜の突出に限らず、あなたから見て明らかに目に異常が見られる場合は病院で診察を受けましょう。特に純血種を飼っている場合、血統によっては先天異常が原因の可能性も考えられます。

 

先天異常の場合は根本原因を治療しないことには完治することはありません。脅すつもりはありませんが「少し目やにが多い」というだけでもウイルスや感染症の可能性があります。素人判断せず早めに病院へ連れていってあげて下さい。

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