【猫は虫歯にならないんじゃないの?】歯周病の治療方と費用

加奈子
あのー、博士。
猫は虫歯にならないって本当ですか?
正直、小太郎の歯磨きが大変で虫歯にならないなら無理に歯磨きする必要もないかな?って思ってて。
キャットフード博士
確かに猫は虫歯にならない動物ですが、歯周病など口腔内トラブルは多いです。
猫の虫歯(主に歯周病)の治療方法・歯が黒い場合の対処法・治療費などについてご説明しますね。
猫の口から異臭がする・よだれが多い・口内に炎症が見られるといった方は参考にしてみて下さい。
小太郎
結論としては歯磨きはした方が良いんだにゃ。
虫歯にはならないけど歯周病に一番効果があるのは歯磨きだからね。

 

猫の虫歯(歯周病)の治療方法

ここでは猫が虫歯になった場合、また歯周病などの口腔内の治療が必要になった場合の治療法についてご紹介します。治療費については「4 猫の虫歯・歯周病の治療費」を参考にして下さい。

 

歯石除去(スケーリング)

スケーリングには歯医者さんが使うような先端が尖ったものを使って、目視できる部分の歯石を除去する方法と全身麻酔をして超音波で歯石を除去する方法があります。前者の場合、麻酔無しで押さえつけながら除去するところもありますが、歯と歯肉の間(歯周ポケット)まで完全に除去するのは難しいです。

 

全身麻酔を行うので麻酔に耐えられるだけの健康状態でなければ施術を受けることができません。シニア猫の場合、麻酔に耐えられないと判断されることもあります。この時点で炎症が起こっていて痛みがある場合はステロイドなどが処方されて痛みを和らげたりしますが、だんだんと薬に耐性が出来て痛みを抑えられなくなるケースもあります。

 

この辺りは歯周病の状態(痛みで食欲が無くなり体力が低下し、免疫力が下がることで別の病気や歯周病の悪化など)や猫の体力・健康状態、獣医の判断によるので一概には言えませんが、麻酔を軽くしたり施術前の検査を念入りに行うなど、病院によってできる対応が変わってきます。

 

猫にとってもストレスとなるので、様子を見ながらいくつか病院を受診(可能なら口腔内の写メだけ見せて相談)し、どんな治療ができるのか?どの程度のリスクなのか?といったことを事前に相談すると良いでしょう。

 

抜歯

歯の状態によっては抜いてしまった方が良いケースもあります。例えば、歯槽膿漏で歯がグラグラしている場合は抜歯します。この場合も全身麻酔をかけて行うので腎臓や血液検査の結果が悪ければ治療できずに注射薬や内服薬で様子を見ることもあります。

 

歯が無くなってしまっても猫はもともとほとんど咀嚼しないので、小粒のフードに変えたりすれば食事の問題になることはありません。この場合も痛みによって食事ができず衰弱するようなら検査の結果が思わしく無くても抜歯に踏み切ることもあり、その時々によって対応は変わります。

 

根管治療

折れた歯の治療です。固いおもちゃで遊んでいたりすると歯が折れてしまったりします。折れる場所や長さによっては治療が難しい場合もありますが、折れてからの時間が治療に大きく影響するのでもし異常に気付いた場合は早めに受診しましょう。

 

猫は虫歯にならないんじゃないの?

猫には「虫歯」という病気がありません。これは様々な理由があるとされていますが、「歯の形状」や「虫歯菌が好むような砂糖をとらない」・「口腔内のpHがアルカリ性(虫歯菌は酸性で繁殖し易い)」などです。但し、3歳を過ぎた猫の内80%以上は歯周病を抱えているというデータもあります。(データ元を調べることはできませんでした。)

 

2009年にペット保険のアニコム損保が行った調査では保険金請求があった730件の内、「歯周病が占める割合が19%」だったというデータもあります。動物病院での手術が必要になった子の5頭に1頭が歯周病での手術を受けているということになりますね。歯周病と一言にいっても、程度や症状によって様々な病気に分けられます。

 

歯肉炎・歯周炎

歯石や歯垢の原因となる細菌が出す毒素によって歯肉に炎症が起きている状態です。歯の周辺の歯茎が赤くなっていることが多いのでチェックしてみて下さい。程度によって「よだれ・食欲低下(食べたそうだけど食べない)・口をくちゃくちゃする・食べるのが遅い・口から腐敗臭・口に触られるのを嫌がる」などの症状が出ます。

 

歯肉炎が初期で症状が進行すると歯周炎となり歯の周りの歯肉が侵食されて歯と歯肉の隙間が広がったり、歯肉が下がるので歯が伸びたように見えます。膿が出たり酷い痛みが出るので食欲にも影響してきます。

 

歯槽膿漏

歯肉炎や歯周炎が更に進行して、最終的に歯槽骨という歯を支える骨まで浸食されている状態を歯槽膿漏といい、歯が抜けて落ちてしまうこともあります。この状態になると痛みから口をくちゃくちゃとさせたりよだれなどの症状が出るので明らかな異変として気づくはずです。

 

外歯瘻・内歯瘻(がいしろう・ないしろう)

こちらも歯肉炎や歯周炎が進行し、骨を溶かし皮膚に穴が空く状態を外歯瘻、歯茎に穴が空いた状態を内歯瘻と言います。外歯瘻の場合、皮膚から出血するので異変に気付きますが、口内に原因があるとは気づかないケースもあります。口と鼻の間にある骨に穴が空くと「口鼻瘻管(こうびろうかん)」と言います。

 

猫の【歯が黒い】これって虫歯?

猫を飼っているとある日突然、犬歯(牙)に黒い縦筋が入ることがあります。「黒い縦筋」というだけでは原因を特定することはできないんですが、けっこう 汚れであることが多い です。猫が嫌がらずにさせてくれるなら綿棒などで少し力を入れて擦ってみて下さい。

 

完璧には取れませんが、黒い筋が落ちるようなら汚れの可能性が多いです。病院に行くとスケーラーでカリカリやってくれますが、完璧には取れません。特殊な機械で削ることもできますが全身麻酔が必要になったり、それでも完璧に落とせないこともあります。

 

虫歯では無いケースが多いようですが、気になるようなら歯科がある動物病院で見て貰ってはどうでしょうか?だいたいが上記のようなやり取りになるはずです。

 

猫の虫歯・歯周病の治療費

診察項目 平均費用(円) 割合(%)
初診料 1,000~2,000 73.6
歯石除去 5,000~7,500 20.4
抜歯 1,000~2,000 31.4
根管治療 3,000~5,000 5.1
全身麻酔 10,000~12,500 27%

 

上記の表は日本獣医師会が平成27年6月に公表している調査結果を元に作成しました。平均費用と割合については最も多かった値を参考にしています。動物病院では治療費を自由に設定できるので上記は参考程度に考えて頂き、病院に直接確認した方が確実です。

 

歯石除去については対応外が1.2%・無回答が2.3%、抜歯については対応外が1.6%・無回答が2.3%、根管治療については対応外が57.2%・無回答が8.4%となっていました。歯が折れてしまった(破折)場合、約半分以上の病院が対応外なので、根管治療を行う場合は事前に対応しているのか確認してから受診する方が良いでしょう。

 

猫の歯周病予防には歯磨きが最も効果的

猫のデンタルケアができるガムやおやつも出ていますが、効果を考えれば歯磨きに勝るものはありません。猫にとって口は生きる上で必要な食べるという行為に最も大切なパーツです。なので飼い主との仲がどれほど良い猫でも口に触られるのを嫌う子は少なくありません。

 

時間や飼い主の根気が重要になってきますが、猫も歯磨きをしつけることは可能です。「歯磨きを嫌がる猫に使えるおやつやガム・歯磨き粉と上手なやり方」犬のようには上手くいきませんが、ぜひ歯磨きを習慣付けられるように努力してみて下さい。

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