猫の腎臓病のケア・予防におすすめのキャットフードを比較!

キャットフード博士
今回は腎臓ケアにおすすめのキャットフードと選び方をご紹介します。 
「腎臓ケア」や「腎臓サポート」にはステージ2以上の子を延命させる為にあげる療法食と、腎臓病の予防や腎臓をいたわることを目的に作られた総合栄養食があります。
加奈子
腎臓に配慮したフードって美味しくないんだってね?
小太郎
僕は食べたことないけど、たんぱく質が低いから美味しくないみたいだね。
でも、病気のせいで食欲が落ちているのも理由みたいだよ。
ただ、腎臓を少しでも長持ちさせるにはやっぱり療法食を食べた方が良いニャ。
いろんな療法食を紹介するから参考にしてみてニャ!

猫の腎臓病ケア・予防におすすめなキャットフードの選び方のポイント

腎機能が低下した猫の為のキャットフードの選び方をご紹介します。ただし、このページで紹介している「療法食」は、市販のフードとは違い腎臓の負担を軽くする為に特別に作られたフードです。「療法食」であれば、特に選び方を気にする必要はありません。

ただし、療法食は特殊な栄養バランスなので食いつきが良く無いものが多いです。「食べない」よりは、一般食や総合栄養食であっても食べてくれた方が良いです。ここで紹介する選び方は、特に「腎臓に配慮した総合栄養食」や「一般食」を選ぶ時に参考にして下さい。

高品質な肉食材を使った高たんぱく過ぎないフードを選ぶ

ステージ

クレアチン濃度

(㎎/dl)

残存腎機能
1.6以下 100~33%
1.6~2.8 33~25%
2.9~5.0 25~10%
5.0以上 10%以下

「副産物」や「〇〇ミール」などは注意が必要です。骨も含まれている可能性があり、リンを制限しないといけない腎臓病の猫には不向きです。「副産物不使用」や「可食部のみ使用」などと書かれた、高品質な肉食材を使ったフードを選びましょう。

さらに、「植物性たんぱく質」よりも「動物性たんぱく質」の方が消化に良く、消化・吸収時に毒素(アンモニア)の生成が少なく済みます。その為、肉食材を多く使ったフードを選ぶと良いでしょう。(ただし魚は次項のリンの含有量が多いので注意)

また上記の、IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)のステージによってはたんぱく質の制限(30%以下)が必要になってきます。ステージ2と3については療法食によって、通常の食事と比べた時に寿命が2~3倍以上に伸びるという報告もあります。

たんぱく質の適正量はステージによります。高すぎても低すぎても害があるので、かかりつけの獣医と相談してください。

リンが制限されたフードを選ぶ

リンは必須の栄養素ですが、腎機能が落ちた猫においては0.3~0.6%でリンの含有量を制限することが推奨されています。これは、腎機能が低下するにつれて血液中のリン濃度が高くなり、腎機能の低下を進める為です。

ナトリウムが制限されたフードを選ぶ

ナトリウムを制限する目的は「高血圧による腎臓の負担を軽減する」為ですが、猫はナトリウムを多くとっても血圧に変化が無いというのが現在の通説です。(Buranakarl 2004, Xu H 2009, Cowgill 2007)

ただ、血圧に変化がなくても腎臓が血液をろ過していることを考えると高くて良いことはありません。初期~中期は特に制限の必要はないとされていますが、猫はナトリウムが不足することも少ないので、ある程度制限されたものを選ぶと良いでしょう。

腎臓ケアのドライキャットフード(療法食)14種を比較

  たんぱく質 リン ナトリウム
ロイヤルカナン(腎臓サポート セレクション ドライ)※1 23.8g 0.40g 0.44g
ロイヤルカナン(腎臓サポート スペシャル ドライ)※1 26.4g 0.45g 0.41g
ロイヤルカナン(腎臓サポートドライ)※1 23.4g 0.31g 0.41g
ヒルズ プリスクリプション・ダイエット(k/d) 29.2% 0.24%
ヒルズ プリスクリプション・ダイエット(k/d)ツナ 29.2% 0.24%
ベッツセレクション(猫用 腎ケア)ビーフプロテイン 27.0% 0.5%
ベッツセレクション(猫用 腎ケア)ポークプロテイン 27.0% 0.5%
ドクターズケア(キドニーケア)チキンテイスト 24.2% 0.35% 0.2%
ドクターズケア(キドニーケア)フィッシュテイスト 23.5% 0.3% 0.1%
vet solution 成猫用 腎臓サポート グレインフリー※2 22.0% 77㎎ 0.02g
vet life リーナル(腎臓の健康維持に配慮) 24.5% 0.4% 0.25%
アニモンダ インテグラプロテクト ニーレン(腎臓ケア) 26.0% 0.45% 0.35%
ハッピーキャット ダイエットニーレ 24.0% 0.35% 0.40%
フォルツァ10 リナールアクティブ(腎臓の健康維持に) 26.0% 0.80% 0.24%

※1、400㎉あたり
※2、100㎉あたり

猫の腎臓病ケア・予防におすすめなキャットフード5選

Vet Solution(ベットソリューション)の腎臓サポート

療法食では珍しいグレインフリー(穀物不使用)の腎臓ケアフード

イタリアのモンジュ社が作る療法食、ベットソリューションはグレインフリーで作られています。それでいながらたんぱく質はしっかりと制限されています。腎臓の働きをサポートするオメガ3脂肪酸も高い配合されています。療法食の中でもたんぱく質が低めなので、切り替えの際は担当獣医に相談してください。

価格 3,729円/1.5㎏(楽天を参照)
おすすめ度
特徴 グレインフリー(穀物不使用)/オメガ3脂肪酸を配合/人口添加物不使用/楽天・アマゾン両方で出品を確認

ベットソリューションの腎臓ケアフードは、天然由来の酸化防止剤を使用しています。BHAなど人口の酸化防止剤は腎臓の負担になるとも言われています。まだ国内の動物病院では取り扱いが少ないですが、担当の獣医に相談してみてはどでしょうか。

Vet Life(ベットライフ)のリーナル

ナポリ大学との共同研究で開発された療法食

ベットライフは高品質な「ナチュラル&デリシャス」も手掛ける、イタリアのフェルミナペットフード社の作る療法食です。酸化防止剤には天然由来の成分を使用し、鶏肉は骨や羽を取り除いた可食部のみを使っています。消化にも良く、腎臓機能が落ちた猫におすすめの療法食と言えます。

価格 5,310円/2.0㎏
おすすめ度
特徴 人工添加物不使用/高品質な食材を使用/遺伝子組み換え原材料不使用/アマゾンのみ出品を確認

ベットライフではGMO(遺伝子組み換え原材料)が腎臓や肝臓に悪影響を与えるとして使っていません。当サイトがチェックした時点では、アマゾンのみの出品でした。まだ国内の動物病院での取り扱いは少ないですが、担当獣医に切り替えの相談をしてみてはどうでしょうか。

アニモンダのインテグラプロテクト ニーレン(腎臓ケア)

ウェットフードの種類が豊富な療法食

アニモンダは人口添加物不使用で、ヒューマングレードの食材を使った高品質なドイツのペットフードメーカーです。ただ、エンドウ豆粉末などを使っていて、少し植物性たんぱく質が多い印象を受けます。成分的には腎臓の負担を軽くできそうですが、もう少し動物性たんぱく質が多い方が消化に優しいつくりになりそうです。

価格 3,000円/1.2㎏
おすすめ度
特徴 グレインフリー(穀物不使用)/人工添加物不使用/ウェットの種類が豊富/楽天・アマゾン両方で出品を確認

アニモンダの腎臓ケアフードは「獣脂ミール」や「鶏肉粉」を使っていますが、低灰分(ミネラル)の材料を使っているので、リンがしっかりと制限されています。品質についても人間が食べられる高品質な食材なので安心して食べさせられます。

ヒルズのプリスクリプション・ダイエット(k/d)

療法食としてのシェアが高い

ヒルズ社は獣医師・栄養学者・食品科学者など220人が在籍するペットフードメーカーです。腎臓用の療法食である「k/d」は日本の獣医療現場でのシェアも高く、腎臓が悪いと言えば「k/d」を進められることが多いです。

価格 3,100円/2.0kg(楽天を参照)
おすすめ度
特徴 植物性たんぱく質がメイン/人工添加物不使用/リンの値が不明/楽天・アマゾン両方で出品を確認

以前は一部の療法食にも副産物が使用されていましたが、最近では副産物の不使用や、香料・着色料などの人口添加物も不使用になっています。ただ、肝心なリンの値が未公表です。飼い主としては肝心なリンの値を公表してくれた方が安心できますよね。

ロイヤルカナンの腎臓サポートシリーズ

国内の療法食ではシェア№1?

ロイヤルカナンは療法食の国内シェアは恐らくヒルズを抜いて№1です。療法食としての効果という意味では他のメーカーを寄せ付けないのではないでしょうか。ただ、ロイヤルカナンのフードには合成の酸化防止剤を使っています。腎機能が低下した子には負担となるような気がしてしまいます。

価格 3,850円/2.0㎏(楽天を参照)
おすすめ度
特徴

腎臓サポートの効果は期待できる/人工添加物を使用/ドライ3種類・ウェット2種類/楽天・アマゾン両方で出品を確認

ロイヤルカナンは獣医から進められることが最も多い療法食でしょう。しっかりと自社で効果が認められたものを商品化しているので、腎臓をサポートする効果も期待ができます。ただ、ろ過の役割をしている腎機能が落ちた子に、合成の酸化防止剤というのは少し不安になります。

猫の腎臓ケアやサポート用のキャットフードに関する良くあるFAQ

ここからは、猫の腎臓ケア・サポート用のキャットフードで良くある質問をまとめました。キャットフード以外にも食べ物などについての質問もあるので参考にしてみてください。

シニア(高齢)猫には腎臓ケアやサポート効果があるフードをあげた方が良い?

単にシニア(高齢)猫というだけで腎臓ケアやサポート効果のある療法食や総合栄養食を与える必要はありません。個体差があるので難しいんですが、検診などでステージⅡ以降の場合に療法食を考えれば十分です。

というのも、「ステージⅠの子に療法食を食べさせて寿命が延びた」というデータはありません。延命のデータが多いのはⅡ~Ⅲです。腎臓ケアや腎臓サポートなどと書かれた総合栄養食は低たんぱくなものが多いです。

低たんぱくなフードは筋肉量を減らし、皮下脂肪が増える傾向にあります。つまり、肥満や糖尿病のリスクが高まるんです。もちろん若い頃と比べると加齢によって腎機能は定価するので、高たんぱくすぎる食事は腎臓の負担となります。

ただ、腎機能がどの程度低下しているかは個体差によります。もしシニア猫の腎臓が心配なら、たんぱく質が30%以下のシニア用フードに切り替えてみてはどうでしょうか。

猫の腎臓ケアにNGな食べ物ってある?

ささみ肉やお刺身・煮干しなどをおやつにあげるのは止めた方が良いです。こういった食べ物は、腎臓に負担となるたんぱく質とリンが高く、非常に栄養バランスが悪いです。市販のおやつも同様にやめた方が良いですね。

おやつをあげるなら、療法食かたんぱく質とリンが低めに作られた総合栄養食などをあげましょう。とはいえ、食べずに痩せてしまうのが一番良くないです。食欲が無くて、キャットフードを受け付けず、お肉やお魚しか食べてくれないならあげても構いません。

ただ、少しでも長生きをさせるという意味では、療法食を食べさせた方が良いです。本当に食欲が無いのか・わがままを言っているだけなのかは見極めが必要です。

どうして腎臓病の猫にたんぱく質を制限しないといけないの?

食べ物に含まれるたんぱく質は猫が消化・吸収する過程でアンモニア(毒素)になります。アンモニアは肝臓で尿素に変換し、腎臓を通っておしっこになります。この時腎臓が働きます。

高たんぱくな食事は沢山の尿素ができるので、腎臓を酷使させることになります。腎機能が低下すると、尿素を排泄できず、血液中に残ってしまいます。こうなると、高窒素血症や尿毒症になり命を落とします。

その為、腎機能が低下した猫には腎臓の負担を軽くして、腎臓を少しでも長く機能させる為にたんぱく質を制限します。療法食が低たんぱくに作られているのもこの為です。

キャットフード以外に腎臓をケアしてあげられることってない?

  • ウェットフードを取り入れて水分による代謝を上げる
  • 激しい運動やストレスによる血圧上昇を避ける

 

腎臓病になると多飲多尿になります。ただ、飲む量よりもおしっこの量が多くなり、脱水症状になることがあります。脱水状態は腎臓の負担となるので、積極的に水分を補給する為にもウェットフードを取り入れると良いでしょう。

また、血圧の上昇も腎臓の負担になります。激しい運動は避けたいです。ただし、安静にして筋力が減るのもNGなので、子猫の頃のように興奮させたり激しく遊んだりしないことを心がけましょう。

腎臓病の療法食を猫が食べてくれない!どうしたらいい?

猫は高たんぱくな食事を好んで食べる為、たんぱく質を制限している療法食はどうしても食いつきが悪いです。「好んで食べていたフード」や「鰹節」などをお茶パックに入れて、それを療法食の袋に入れて香り付けすると食べてくれることがあります。

食べずに痩せてしまうのが一番の問題なので、最悪は「フード」や「鰹節」を粉末にして、療法食と良く混ぜたものをあげる方法もあります。粉末にして療法食の表面だけに付けることで、鰹節などの摂取量が少なく済みます。

 猫の腎不全って何?腎臓病との違いは?

猫に限った話ではありませんが、腎機能が低下している状態「腎臓病」と言い、腎臓病が進行して正常に働かなくなった状態を「腎不全」と言います。

腎不全には「急性腎不全」と「慢性腎不全」とがあります。腎臓はなかなか症状が出ない臓器で、症状が見られる頃には既に機能低下が進んでしまっています。

猫の場合、定期健診を受けずに様子がおかしくなってから受診する子がほとんどです。その為、「急性」なのか「慢性」なのかは初診の時には分かりません。

まとめ

ここでは猫の腎臓ケアやサポートにおすすめの療法食と、総合栄養食で腎臓に配慮したフードの選び方をご紹介しました。腎機能が低下した猫に大切なのは、たんぱく質とリンの制限ですが、どちらも猫にとって必要な栄養素でもあります。

腎臓病の進行具合や年齢によって適正となるたんぱく質の割合などは異なります。できるだけ獣医と相談しながら療法食を選んであげましょう。

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