逆に僕みたいな雑種は色んな遺伝子が混ざってるから特定の病気が遺伝するリスクが少ないんだにゃ。
ベンガルが遺伝的にかかり易い病気
ベンガルは一般的に遺伝疾患が少ない種類と言われてきましたが、最近の研究によって以下のような病気を好発することが分かってきました。
ピルビン酸キナーゼ欠損症
鹿児島大学が行った調査ではベンガルが「ピルビン酸キナーゼ欠損症」を好発する可能性があるということが分かりました。特に好発すると言われているソマリやアビシニアンと比べると確率はごくわずかですが、ベンガルではイギリスやアメリカでの異変遺伝子が発見されています。
キャッテリーなど、国際的な血統登録団体の血統書付き猫と交配するような質の高いブリードを行っている場合、異変遺伝子を含んでいる可能性も否定できません。生後2~3ヵ月から貧血を起こすようになり、食欲不振や倦怠感などの症状が出ますが、成猫になるまで気づかないことが多いです。
好発するソマリやアビシニアンと比べると異変遺伝子を持った子の確率は10分の1程度で、この実験では発症している子は確認できていません。但し遺伝的に好発ではないものの発症のリスクはあるのであげさせて頂きました。
発症している子は短命になるケースが多いですが、有効な治療方は見つかっていません。優秀なキャッテリーであれば、繁殖前に親猫の遺伝子検査を行っているはずなので問題無いでしょう。
トリコモナス症
人間では性感染症として知られていますが、猫では大腸に寄生する病気です。イギリスで行った小規模な調査結果ではありますが、下痢をしている猫111匹を調査したところ、シャムとベンガルの感染率が高かったというデータがあります。
実際には感染例が16でその中でシャムとベンガルが多いということで、たまたまともとれる割合ですが、ペットショップやブリーダーから迎えたばかり(特に1歳未満)で、下痢や血便などの症状が出るようならトリコモナスを疑っても良いかもしれません。
Prevalence of Tritrichomonas foetus infection in cats with diarrhoea in the UK
トリコモナスは感染した猫の便から経口感染するので、トイレの共有が考えられる場所や便を放置されているような不衛生な環境では注意が必要になります。トリコモナスに対して有効な薬は無いので、下痢による脱水症状を緩和する為の処置や、腸内細菌サプリなどを処方されます。
FIP(伝染性腹膜炎)
ベンガル自体はまだ歴史の浅い種類なので、ベンガルが好発するといったデータを見つけることは出来ませんでしたが、ベンガルの祖先でもあるベンガルヤマネコはFIPの感受性が高く、若くして亡くなる個体が多いそうです。
感染経路も不明・感染しても発症するのは一部など、不明な点が多い病気です。初期症状では「元気がない」・「痩せてくる」・「発熱」などの症状がみられ、「腹水」や「胸水」がたまるタイプと「神経」・「眼」・「腎臓」などに障害がでるタイプがあります。
ノースカロライナ州立大学付属の動物病院が発表したデータによると雑種よりも特定の純血種の方が発症率が高く、中でもベンガル・アビシニアン・ヒマラヤン・ラグドールの発症率が高かったと言います。
引用:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1098612X0500080X
ストレス性神経障害
ベンガルはストレスに弱い猫として紹介されることが多いです。「狭い空間での飼育」や「運動不足」などのストレスが原因で攻撃的になる・やたらと鳴く・しつような毛づくろいによって禿げるなどの症状が現れます。
こちらに関しては情報源となっているデータや参考文献を見つけることが出来ませんでしたが、ストレスに弱いことを考えると飼育環境によっては好発してもおかしくないので遺伝的にかかり易い病気としてあげさせて頂きました。
噂レベルでベンガルがかかり易いと言われる病気
ここからは「確かな調査結果や実験データがある訳ではないものの、ちまたでベンガルがかかり易い」と言われる病気にについてまとめました。「言われてみれば確かにそうなのかも」というものから、眉唾ものまでまとめたので参考にしてみて下さい。
皮膚疾患
これは、「ストレス性神経障害」の症状に「ストレスが原因による過度なグルーミングによる脱毛」が含まれている為と考えられます。調べた限りでは、ベンガルが皮膚病を好発するといったデータや参考文献はなく、上記の情報が派生していった結果と考えられます。
とはいっても、好発する血統ではないというだけで発症しない訳ではないので痒がるそぶりや皮膚の炎症など異変に気付いた際には早めに受診し、早期発見・早期治療を心がけてあげましょう。
角膜炎
ベンガルが角膜炎を好発するといったデータや文献は見つかりませんでした。あるサイトに「ベンガルは運動量が多く、活発だから目をぶつけて角膜炎を起こす可能性が…」といった内容が書かれていた為、この情報が派生していった為だと考えられます。
現時点ではきちんとしたデータや文献が元になった情報は見つからなかったので特別気にする必要は無いでしょう。皮膚疾患同様に、好発はしませんが雑種同様に発症しない訳ではないので頭を振る・顔を気にして前足で擦るといった仕草が目につくようなら早めに受診するようにしましょう。
突発性膀胱炎
こちらについてもベンガルが好発するといったデータはありません。大きなくくりとして「純血種に多い」・「ストレスも原因」とは言われていますが、ベンガルが好発するといったデータや文献は見つかりませんでした。
特に「ストレスが原因」と考えられている為、ストレスに弱いベンガルがかかり易いという情報が流れたのだと考えられます。一般的な膀胱炎とは違い、突発性膀胱炎の場合は細菌感染が確認できない為、ストレスが大きく関わっていると考えられています。
ただ、突発性膀胱炎の原因についてはその他に「オス猫」や「肥満」・「水分不足」なども原因としているのでストレスも原因の一つではありますが、純血種とストレスだけを結び付けてベンガルに好発するというのは少し強引な気がします。(データがあれば別ですが)
とはいえ、「純血種」と「ストレス」の他に「オス猫」や「肥満」「水分不足」など、重なり易い原因がいくつかあるので、飼い主側でケアできる部分に関しては注意してあげた方が良いでしょう。
ベンガルは純血種の中では遺伝疾患(原因不明で好発するので遺伝と考えられる)が少なく丈夫な種類と言われてきました。
ですが近年になって好発が認めらた病気があります。
これからベンガルを迎える方・既に一緒に暮らしている方は参考にしてみて下さい。