【猫の出産ガイド】時期・産後の行動・気を付けたい病気・兆候その他

キャットフード博士
ここでは猫の出産に関する内容をまとめました。
出産が重なる時期や産後に見せる行動の変化や気を付けたい病気、出産前に見せる兆候など、猫の出産で多い相談内容をまとめました。
愛猫の出産を控えている方は参考にしてみて下さい。
加奈子
へー、猫の出産シーズンって1年に2回もあるのねー。
小太郎
猫の出産に関する動画も紹介してるから見て欲しいにゃ。
僕たちはどんどん増えるから、基本的には去勢・避妊手術をして欲しいにゃ。

 

猫の「出産時期・季節」やハイシーズンは春と秋

日照時間などによっても変わるようですが、メスは年に2回、オスは年中(メスに合わせて)発情します。発情期は主に1~4月と6~8月頃が多いです。猫の妊娠期間は60~68日(多いのは63~65日)なので 出産時期で多いのは「3~6月」と「8~10月」 になります。

 

ただ、発情するタイミングはメス猫が初めて発情したタイミングによって変わってくるので、出産(発情)がずれこみ出産が前後することも珍しくはありません。研究室内で行った研究では猫は発情中の交尾で7~8割の確率で妊娠し、6~7割の確率で出産することが分かっています。

 

研究室内とは違い、よりストレスの少ない自然環境の中であれば猫は発情時期によって年中出産すると言って良いでしょう。妊娠と出産の確率にズレが生じているのは母猫の体内に子猫が吸収されるということが起こった為です。自然環境下でも発生する可能性は考えられますが、これを調べたデータは見つかりませんでした。

 

ただ、自然環境下では発情中の交尾で90%以上の確率で妊娠するとも言われています。これを考えると「子猫の吸収」という現象が起こったとしても出産の可能性は研究室よりもはるかに高くなることは簡単に予想ができます。

 

猫が産後見せる行動や気を付けたい病気

ここでは猫の産後に良く見られる行動と気を付けたい病気についてまとめました。因みに、産後に発情が回帰するのは個体差もありますが1ヵ月~4か月程度と言われています。

 

産後の正常な行動や変化

  • 5週齢(乳離れ)まではほとんど子猫と一緒にいる
  • 授乳中の体重は1日平均で5g程度減っていく(蓄えた脂肪を乳に変える為)
  • 排尿・排泄の手伝いで下腹部を、ミルクを飲ませる時は顔を舐める
  • 自力で巣に戻れなくなった子を連れ戻す(生後30日まで)
  • 巣の移動(4週目頃まで)
  • 産後の凶暴化(威嚇無しでの攻撃、オス猫に顕著)
  • 生後1週間頃までに同じくらいの大きさの動物を子猫に混ぜると他の子(猫だけでなく犬など)も育てる

 

上記は出産後の母猫に見られる正常な行動です。特に体重に関しては生まれた兄弟の数によっても変わってきますが、基本的に妊娠中に蓄えた脂肪を母乳に変えて与える為、日に日に体重が減少するので栄養価の高いフード(子猫用や高カロリーなもの)をあげましょう。

 

産後の異常な行動や変化

  • 育児放棄
  • 共食い
  • 誘拐

 

授乳や排泄の世話をしないといった育児放棄が起こることがあります。人が出産に手を出し過ぎるのが原因で起こることもあります。(生まれたばかりの子を触るなど)この場合、育児を再開することは期待できないので人間が世話をすることになります。詳しくは「子猫について」を参考にして下さい。

 

犬や猫では共食い(カニバリズム)が見られます。生まれてきた子がケガをしていたり死産の場合に多く、その他に兄弟が多かったり妊娠していないメス猫が食べることもあります。妊娠後期のメス猫や偽妊娠(想像妊娠みたいなもの)のメス猫に多く、ホルモンが変化してよその子猫に対して母性本能が高まってしまう為と考えられています。共食いや誘拐に関しては多頭飼いをしている家庭では注意が必要になります。

 

猫の産後に気を付けたい病気

ここからは産後に発症しやすい病気を紹介します。基本的には産後の母猫に異常(ぐったりして元気が無いなど)が見られる場合はできるだけ早く獣医の診断を受けるようにしましょう。

 

産褥熱(さんじょくねつ)

産後に子宮や粘膜から細菌感染することで高熱がでる病気です。下腹部の痛みもあり育児にならないこともあります。育児放棄をしている場合、母猫の体温を計ってみましょう。放って置くと子宮内膜炎や細菌が全身にまわってしまい重症化することもあります。

 

子癇(しかん)

妊婦でもおこる痙攣を子癇と言いますが、猫の子癇は主に出産後(21日まで)に起こります。妊娠や授乳によって体内の栄養が低下すると横転し手足を伸ばした状態で痙攣が起こります。こちらも子癇が続くと育児放棄をするようになる為、カルシウムやグルコースを投与し治療します。

 

主な痙攣は重症時の症状で、症状が軽い場合はヨダレの量が増える・動きがぎこちない・光を嫌うなどの症状が見られます。痙攣が何度も続くといったような状況を放っておくと子宮蓄膿症などの合併症を起こすこともあるので痙攣が何度も起こる場合はできるだけ早く受診しましょう。

 

子宮内膜炎

子宮が細菌感染することで下腹部の痛み(痛みからお腹を触られるのを嫌がる)・微熱・おりもの(膿のような分泌物)・不正出血などの症状が出ます。放っておいて悪化すると次項の「時給蓄膿症」になり、子宮内に膿が溜まった状態になります。

 

子宮蓄膿症

子宮内膜炎が悪化すると子宮蓄膿症となり、発熱や嘔吐・陰部から膿が出る・お腹の張り(子宮が張れる)・水を大量に飲む・おしっこの量・回数が増えるといった症状が出ます。症状によっては子宮の摘出なども必要になる為、早期に受診する必要があります。

 

乳腺炎

授乳時についた子猫の引っかき傷や噛み傷でも起こりますが、多くの場合は子猫が飲む量に対して過剰に母乳が作られる為に、母乳が乳房の中で悪くなり炎症を起こします。その為、偽妊娠でも起こることがあります。主に乳房の腫れやしこり・授乳の拒否(痛みから)・発熱・乳房から黄色い母乳が出るといった症状が見られます。

 

乳房が腫れていて子猫への授乳を拒否している場合は乳腺炎の可能性が高いです。自宅でできるケアとしては蒸しタオルなどで母乳を絞ってあげたり、乳房を冷やすことで炎症を和らげるなどがあります。悪くなった母乳を子猫が飲んでしまうこともあるので必要であれば人口哺乳に変えます。

 

猫が1度に出産するの数は何匹?何歳まで埋めるの?

猫が一度に出産する数は1~9匹で多いのは2~6匹程度と言われています。「ギネス記録では1回の出産で18匹」というのがあるようです。メスの野良猫の場合1年で5~15匹を出産するというデータもあり、あっという間に増えていきます。猫は発情中に交尾をするとほぼ妊娠します。

 

完全室内飼いであっても発情中には脱走する確率も高くなることから、望まない妊娠を避けるのであれば室内飼いであっても避妊・去勢手術は検討した方が良いと言えます。不幸な命を少しでも減らす為にも仮に出産した場合に、子猫を飼育できないのであれば手術は必須だと考えて下さい。

 


元の動画はこちら 

 

ちなみに17年間で420匹を生んだという記録もありますが、高齢出産は母子共に危険(奇形や死産)が伴います。猫は閉経がありませんが出産のピークは5~6歳(人間でいう36~40歳くらい)と考えた方が良いでしょう。

 

【こんな仕草をしたらもう出産間近!】猫が出産前に見せる兆候

妊娠50日頃から胎動が見られるようになります。そして出産前24時間を切ると次のような兆候を見せるようになります。段ボールにタオルや新聞紙(くしゃくしゃにした)などを入れて巣を作ってあげましょう。母猫2匹分くらいのスペースがあれば十分です。暗い方が母猫にとって落ち着けます。

 

  • 急激な食欲の低下
  • 胎動が減りお腹が固くなる(張る)
  • 攻撃的になり警戒心が強くなる
  • 出産場所を探しウロウロ・ニャーニャーと鳴く
  • トイレで何度もうんちをしようとする
  • 床を掻くなど巣を作ろうとする
  • 乳房や陰部を舐める

 

猫の出産前後に備えた出産場所の準備

出産が間近に迫ってきたら(妊娠60日頃)、暖かく静かな場所に出産用の箱(巣)を用意する。タオルや新聞紙などを箱に入れて水や餌・トイレも近くに置いてあげましょう。出産直後は 基本的には母猫に全てを任せて下さい。 母猫が子猫を舐めて羊膜をとらない場合、育児放棄も考えられるので人の手で処置してあげなければいけません。

 

タオルで子猫を撫でるようにすれば羊膜はとれます。羊膜を取ってあげないと呼吸ができないのでこれだけはやってあげて下さい。(初めての出産だと気が動転して何をすれば良いか分からなくなる母猫もいる)へその緒や胎盤については基本的に母猫は自分で食べてしまいます。

 

色々不安になるかもしれませんが、巣だけ用意して母猫が安心して埋める環境を作ってあげれば全て勝手にやってくれます。でなければ子猫の捨て猫がこんなに増えることはありませんからね。産後はタオルや新聞紙が汚れているので取り換えるか、別の巣(段ボール)に新しいタオルや新聞紙を入れたものを用意しておくと良いでしょう。

 

猫の出産にかかる時間はどれくらい?

一般的には陣痛から30分で第一子が生まれ、15~30分間隔で次の子が生まれます。兄弟の数にもよりますが陣痛が始まってからだいたい2~3時間で終わります。

 

陣痛

大体20分~60分程度陣痛が続きます。陣痛が始まると苦しそうに口で呼吸をしたり・足元を掘る・ウロウロ歩き回る・陰部を舐めるといった行動をします。60分以上経っても次の「開口期」にならない場合は難産の可能性があるので獣医に相談し、支持を仰いだ方が良いです。

 

開口期

膣の開口部で子猫が一度止まります。ここで出血量が多い場合や、頭が出ているのにそこで5分以上止まっている場合は獣医に診てもらう必要があります。

 

算出期

15~30分間隔で次の子が生まれてきて、兄弟の数にもよりますがだいたい1~2時間で全ての出産が終わります。基本的には母猫が羊膜を取ったりへその緒を切ったりします。ただ、初産や飼い主に対して依存心が強い母猫の場合、産み落とすだけで何もしない場合があります。

 

その場合は「5 猫の出産前後に備えた準備」を参考にタオルで羊膜をとってあげて下さい。へその緒は通常であれば母猫がかみ切りますが、母猫が何もしないようなら消毒したはさみを使ってきってあげましょう。下手に手を出すと育児放棄や共食い(カニバリズム)してしまうこともあるので、あくまで母猫が何もしない場合に対応してあげて下さい。

 

後産期

胎盤が出ることを言いますが、子猫1匹に対して胎盤は一つ出てきます。但し胎盤が出る前に次の子が出てきてしまうこともあるので「胎盤が出てこない」からと焦る必要はありません。ただ、最終的に生まれた数と胎盤の数が合わない場合は胎盤が体内に残ってしまい感染症になることもあるので獣医に相談して下さい。

 

猫が1匹しか出産しない!?2匹目が出てこない時の対処法

猫は1匹だけを出産することもあります。また、1匹目が生まれてから数時間経っている場合、母猫が特別苦しそうでなければ様子を見ても大丈夫です。難産ということにはなりますが、1匹目が無事に生まれている場合、時間はかかりますが2匹目も無事に生まれてくるケースが多いです。

 

人間も陣痛の合間に食事を取る人もいます。猫も長い子では 1回の出産に半日かかる子もいます。 もし母猫が嫌がらなければお腹を優しく擦ってあげて励ましてあげましょう。基本的には7割がた頭から出てきますが逆子の場合出にくいこともあります。中には最初の子を産んだ1週間後に最後の子を産むという珍しいケースもあります。

 

基本的には半日は様子を見てそれでも生まれてこなくて、まだお腹が明らかに大きいようなら動物病院に電話し、獣医に指示を仰ぐと良いでしょう。

 

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