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スコティッシュフォールドがかかり易い病気と症状Ⅰ:外耳炎
外耳炎とは頭から生えた耳の部分(ヒラヒラの部分)に炎症が起こることを外耳炎と言います。外耳炎を発症すると主に下記のような症状が現れ、放っておくとさらに耳の奥まで進行し中耳炎や内耳炎となり鼓膜が破れたり難聴などの症状が現れます。
外耳炎の原因は多岐に渡りますが、一般的に次のような原因で発症します。中でもスコティッシュフォールドは耳の折れ具合にもよりますが、「異物の混入」は少ない反面、耳の内部が蒸れ易くなる為、「感染症」が原因で発症するケースが多いので注意が必要です。
原因Ⅰ:寄生虫
ダニや疥癬など寄生虫が耳につけた傷や分泌物が原因で炎症を起こします。寄生虫の種類にもよりますが、日ごろのチェックで早期発見が可能です。寄生虫が原因の場合は、抗ダニ薬などを用いて原因となる寄生虫を処理し、洗浄薬などで耳をキレイにします。
原因Ⅱ:異物
寄生虫と似ていますが、植物の種や小さな害虫や水などが耳に入り込み炎症を起こすことがあります。異物の場合、異物を取り除くことは簡単なんですが、腫瘍やポリープができている場合もあり、こういった場合は手術が必要になることもあります。
原因Ⅲ:アレルギー
アトピーや接触アレルギーなどの症状が耳に現れることがあります。食物アレルギーが耳に出ることもあります。原因となっているアレルゲンを特定し、接触を避けたりアレルゲンがカットされたキャットフードなどで対策をします。
原因Ⅳ:感染症
原因となる細菌はいくつかいますが、「異物」でも紹介したように何かの拍子に耳の中に水が入りこみ、湿気を好む細菌が繁殖し外耳炎を発症するケースがあります。感染症の場合、対象となっている菌を特定し抗菌薬を使用します。
原因Ⅴ:ケア不足
耳垢が溜まってしまい、細菌が繁殖したり外耳炎の症状にに気づかずに悪化させてしまうケースがあります。ケア不足で発症してしまった場合は、せっかくなので獣医に耳掃除のポイントなどを直接聞いて、定期的にケアをしてあげましょう。
スコティッシュフォールドがかかり易い病気と症状Ⅱ:骨瘤(遺伝性骨形成異常症)及び関節疾患
スコティッシュフォールドの特徴とも言える「折れ耳」ですがこれは「骨軟骨異形成」という遺伝疾患です。「折れ耳」の子は骨瘤(遺伝選骨形成異常症)を含む関節の障害を発症する確率が高いことが分かっています。
アニコムペット保険が公開している「家庭どうぶつ白書2014」ではスコティッシュフォールドは他の純血種の約3倍も筋骨格系の疾患が多いとまとめられています。そんなスコティッシュフォールドの筋骨格系疾患の中でも多いのが骨瘤(遺伝選骨形成異常症)です。
骨瘤は関節部分の奇形・短縮化などが見られ慢性的な痛みを発する為に、上記のような症状(仕草)がみられるようになってきます。上記の画像のような「スコ座り」もずっとスコティッシュフォールドは体が柔らかいからと考えられていましたが、近年では手足にできた骨瘤のせいで「スコ座り」の方が痛みが少ないからという考えも出てきています。
骨瘤の原因は遺伝です。得に両親共に耳折れの場合に骨瘤が重症化すると言われていますが、近年では「耳折れの子は進行具合に差があるものの、ほとんどの個体で筋骨格系の疾患を発症する」と言われています。手術によって取り除くことも可能なんですが、再発率が高い為痛み止め程度の治療をするケースがほとんどだそうです。
予防法もありません。強いていえばペットショップでスコティッシュフォールドを買わないことくらいです。(売れなくなればブリーダーも交配しなくなるので)
スコティッシュフォールドがかかり易い病気と症状Ⅲ:尿管結石・腎結石
2007年~2014年にかけて麻布大学付属動物病院が行った調査でスコティッシュフォールドが雑種や他の純血種に比べて尿管(腎臓と膀胱を結ぶ管)結石を起こしやすいことが分かりました。元々、純血種の中でも「腎結石」は多いとされていました。
石が小さい間は特に症状がありませんが、石が大きくなってくると急性腎不全の症状を起こすことがあります。急性腎不全の主な症状としては次のような内容があげられます。
腎結石や尿管結石を防ぐには肥満や水分不足の他、尿pHの偏りを減らすことが大切です。「尿路結石におすすめのキャットフード」を参考に肥満や水分不足以外でしてあげられる対策をとってあげて下さい。
スコティッシュフォールドがかかる可能性のある病気
ここからは、きちんとしたデータがある訳では無いんですがアメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアなど、現在のスコティッシュフォールドのスタンダードになるまでに交配されてきた猫がかかり易い病気をご紹介します。
スコティッシュフォールドがかかる可能性のある病気Ⅰ:心筋症
肥大型心筋症という左心室の筋肉が大きくなる病気で、スコティッシュフォールドとよく交配されるアメリカンショートヘアが遺伝的に起こしやすい病気です。スコティッシュフォールドが好発するといったデータはありませんが、アメリカンショートヘアの血が入っている以上、可能性としては考えられる病気です。
スコティッシュフォールドがかかる可能性のある病気Ⅱ:多発性のう胞腎
こちらもスコティッシュフォールドが好発するといったデータはありませんが、よく交配に用いられるアメリカンショートヘアが好発する病気です。リンク先で症状や対策についてまとめてあるので参考にしてみて下さい。
スコティッシュフォールドがかかる可能性のある病気Ⅲ:椎間板ヘルニア
「肥満」・「小型」・「胴長」といった要因が好発の条件と言われていますが、2016年にイギリスで発表されたデータによると純血種ではブリティッシュショートヘア(ペルシャも)が他の純血種と比べて多いという結果があります。
アメリカではスコティッシュフォールドの交配に用いて良いのはアメリカンショートヘアとブリティッシュショートヘアだけです。遺伝を考えるとスコティッシュフォールドが発症する可能性は雑種よりは高いと思っていて良いでしょう。
最後に
こういった記事を読んでスコと暮らすことをあきらめてしまう方もいるでしょう。病気のことを購入してから知り、医療費負担から逃げたいが為に一度は家族として迎えた子を捨てる人が少なからずいます。そういった人を減らす為にもこういった内容の記事が増えることは良いことだと思っています。
スコティッシュフォールドは愛くるしい容姿からテレビで取り上げられることもあって、日本では常に人気の種類です。その為、しっかりとした知識もなしに購入し、後から病気が発覚し飼うのを放棄する人が後を絶ちません。実際、里親を募集しているスコの子も思っている以上にたくさんいます。
ここに書かれている内容を把握した上で、「それでもスコティッシュフォールドと一緒に暮らしたい!」という方は、医療費がかかるかもしれません。介護が必要になるかもしれません。短命に終わってしまうかもしれません。それでもどうか最後の最後まで可愛がってあげて下さい。
折れ耳の子は遺伝疾患が多い傾向にあるので気を付けて下さいね。